連獄 ～終りなき物語～ 【ミステリー】

　全身から汗が噴き出していた。それは終焉をつげる言葉だった。恐ろしい予感が全身を駆け巡る。急ぎ服を着替え診療所をぬけだす。月明かりが照す中歩いた、おそらくはあの山を越えれば町に出られるはずだ、なぜだかそう思った。おそらくここに僕は来たことがある。そして何度もここを歩いた…気がする。なぜか全て知っている気がする、これからどうなるのかも、恐ろしい不安を振り払う様に気がつけば駆けだしていた。
　
　森を抜けたところに男が立っていた。それは一番出会いたくない人物だった。男は神山だった。

「俺がなぜここにいるか知ってるか？」

　その問いは以前どこかで受けた質問のように感じた。

「どういう事だ？」

　奇妙な違和感がこの場に立ちこめている。第六感はこの場所から速やかに立ち去ることを告げている。

「質問を質問で返すのか、ずいぶん無粋な奴だな…」

　そう言うと神山は懐から金属を取り出した。それは日の光を反射し光っていた。