急かすような内容の夢だった。おぼろげながらも思い出した。誰かを追ってここに来たのだ。まさか…。
　
　少しずつピースがそろって行くのがわかる。しかし、確証などどこにもない。記憶が戻ればハッキリと完成する気がする。それでもピースがすべて揃う気がしないのはなぜだかハッキリと感じた。
　あるとき神山がやってきた。

「なぁあんた、まだ思い出せないのか？」

　ドスのきいた声で神山が訪ねてきた。

「いいや、何も…」

　本当でも嘘でもない。しかしこの男は人を殺している。それだけはハッキリしていた。恐怖で身がすくみそうになるのを堪えながら、彼に質問した。

「あなたはどうですか？」

「…いいや」

　明らかに何かを思い出している。しかしそれを問いただせば自分の身が危険にさらされる。

「また来る…」
　
　そう言いながら神山は帰って行った。

　頭が痛む…神山にも看護師にも見覚えがある。何度もこうしている気がする。そう思うと笑顔の張り付いた看護婦すら急に恐ろしくなってきた。



　その晩…。