「……言えたじゃん」
「……え?」
「今の、凄い響いたよ」
紗耶香ちゃんの髪は若干乱れていて、目もウルウルしてて、頬もほんのり赤く染まってて、
そんな茫然とした顔で見上げられたら、なんだか可笑しくなってきて、私もしゃがんで頭を撫でていた。
「伝えてあげなさい。あなたのお父さんに」
「……」
「どう返ってくるかは分かんないけど、それでも前へ進みたいなら伝えてあげて。
もしかしたら、お父さんも君を待っているかもしれない。
だから、もう援交とか、そんな自分を傷つけるようなことをするとか言い出しちゃダメだよ?」
「……」
「約束?」
「………ん」
私の言葉に小さく頷いてくれるのを確認し、私は膝に手をつき立ち上がろうとする。
「……まぁ私に出来ることなんて限られるけどね、愚痴くらいなら何時でも聞くよ」
ハハっと、ついつい自嘲的な笑いが零れてしまった。

