「……流石です…」

ん?

「…でも、何で家のことまで分かったんですか?」

「…あっ、えっと、こんな中途半端な時期に転校して来たから、あと学校でも疲れてるし、きっとゆっくり休めてないんじゃ……と勝手な推測っす。うっす」


恐る恐る言葉を綴りながら、紗耶香ちゃんの顔を見ようと試みる。


「…ぷっ、やっぱり凄いね佑耶さんは!」

すると、意外にも彼女の表情は笑顔だった。


「大正解だよ~!
でもバレない自信はあったんだけどな?」

そう言って、椅子を斜めに傾けて天井に向かってうんと背伸びをする紗耶香ちゃん。こちらに可愛らしいウインクをしながら。

あの、そういう雰囲気作らないで良いから、取り敢えずちゃんと座ろう?
あなたの場合そのまま後ろに倒れかねないから。


「私の親仲が悪くてね?特に父親が女好きで浮気しまくりでして」

あ、語り出した。

つか何で所々敬語使ってくるの?

「それでついに去年離婚したんです。実は母親も浮気してて、そっちに行っちゃって。私をくそ父親の元に残したまま。多分邪魔だったんだろうと思います、結婚するのに子供ってなにかと不便ですしね?
で、私と父親が出て行くことになったんだけど、それからは知らない女んとこ転々として、そしたら最終的にこの土地に辿り着いたと。
女何人居たんだよ、って話ですよね。

だから、いい加減考え直してもらう為に、今回ばかりはこの土地を嫌うことにしたんです。
父親の目から援交現場でも見てもらえば、ちょっとは考え直してくれるかもしれないし」