「取り敢えずスタート」
意外とクールな音楽と共に、可愛い女の子達の映像が流れる。
どうやら、
『平凡な日常に飽きていた主人公。
そんな時に、彼のクラスに色々と謎に包まれたツインテール美少女が転校してきた。
それを機に彼の周りでは不可解な事件が起こり出し…!?』
…というシナリオらしい。
なんというか、ありきたりだ。
このツインテールのヒロインは紗耶香ちゃんと言うらしい。
素直で優しく、誰に対しても平等に接し、たまにドジっこという、まさに理想の固まりというか、製作者の欲望の固まりといったものだ。
こんな子現実には居ないよ。
と言ったところで、
「むしろ居ないからこそこうしてゲームのキャラクターとして造り上げるんでしょうが」
と言われたらどうしようもない。
ごもっともだ。
でも、それでもこの子は気にくわない。
何故って?
それはこの子が琉生のド真ん中だからだ。
「紗耶香ちゃん、くくく………ジュルリ」
と、ほれこのとおり。
出来るならば引かないであげてほしい。
まあゲームのキャラクターにまで嫉妬をする私も何かと思うけどね。
所詮ゲームだし?
…そう、所詮ゲーム。二次元。
そういう筈だったのに……―――