★ブルーの彼方★






 そうだ、父だ……。




所々、せきをしてる。




父の体調が悪くなってから、録音されたものなのかな?




父の息づかいが、感じられる。




表情や仕草は、もちろん見えない。




でも、写真よりもなぜか、リアルに感じる。




すごく、物凄く近くにいるかのように。




「これからも、ずっと、ずっと一緒にいたいけど、いられないのが悔しくて……


悔しくてたまらない……


本当にごめん」



 涙声がくぐもって聞こえてくる。




私も父と、ずっと一緒に生きていたかった。




「ちょっと遠くに行って来ます……なんか、暗く……


なっちゃったな……



ここで一曲歌います。



ハッピーバースディトゥーユー……♪♪♪

ハッピ……バースディ……♪♪♪


トゥユー♪…


ハッピーバースディディ……ア」



 父は最後、咳き込んでしまっていて、そこで録音は途切れてしまっていた。



何かが鋭く父の体を、突き刺しているかのように感じた。



父が必死に歌っていたのが伝わってきた。父の熱い想いが、私の心にこみ上げ涙がこぼれた。