★ブルーの彼方★






 父が赤ちゃんの私におほずりをしていたり、頭をなでていたり、高く抱っこしてたり。




その表情一つ一つは、カメラを意識している感じじゃない。




私の方を見つめてる写真が、ほてんどだから。




私の覚えていない過去。



だけど、充分に父の愛情を感じ取ることができる。




本当に大切に、育てられていたのだと、伝わってくる。




時々カメラ目線で写っている父の笑顔も幸せそうで、愛情に満ちている。



私と父の写真は、もう一枚も……増えることはないんだ。





 母の父への想いも、今なら感じ取ることができる。



今までは、そんなに気づかなかったけど。




きっと、私を撮りたかっただけじゃない。




母は父の姿を、たくさん残しておきたかったんじゃないかな? と思える。




被写体の中心は、父が多いから。




幼いころから、ずっと何度も何度も、このアルバムを開くと、なぜか温かい気持ちがこみ上げてきたのは、二人分の愛情を、感じていたせいだったのかもしれない。




どんなに寂しくても、父がいないことで悪口を言われても、私は、一人じゃない……そう、思えてた。