★ブルーの彼方★

「それで、どうやったら彼を振り向かせられるか、必死に考えて。



クリスマスやバレンタイン、誕生日に毎年プレゼントを渡すんだけど、全部もらってもらえなかった。



返されるの…せっかく編んだ手編みのマフラーも手袋も、手作りのチョコも。



チョコがだめなら、和菓子。



ってしてみたけど、そういう問題でもなかったみたいで。



自分で食べて(使って)下さい。



っていうのよ!



失礼な話でしょ?



もう悔しくて、そのたびに涙を流して…だけどまたその次も渡してた」



 そのやりとりが、何だか目に浮かんでくる。





 いい加減、諦めればいいのに…とか、バカみたいだ。



とも思う。



でも母は、それだけ必死になれる相手と出会ったんだ!!



ちょっとだけ、うらやましい。



「全く脈はなかったんだ?」



 不思議になって聞いてみた。



「うん、その頃はなかった。



彼にも、恋人が何人かできたし。



でも、すぐに別れちゃうの。



だからすぐに別れるってことは、いつか自分の出番も巡ってくるんじゃないか?



って期待してた」



 目を輝かせていう、母の顔を見つめてた。





 きっと、こういう単純で純粋な人は、オレオレ詐欺とかに引っかかっちゃうんだよ…。



と、ちょっと不安になった。



幸いなことに、まだ詐欺に引っかかったことはないけど。