★ブルーの彼方★

「よしっ、完成!!」



 まるで自分のことのように、満面の笑みで私に言った。




その笑顔につられるようにして、頬が緩んだ。




ずっと強張っていた頬も、口元も和らいでいくようだった。




彼の笑顔は、いい笑顔だ。




「ありがとう……



あれ? 名前何だっけ?」



 ずっと、心の中では冴えない男の子。


としか、思ってなかったから。



名前ちゃんと覚えてなかった。




すごく、失礼な話だけど。




こんなにいい人なのに…。




「鈴木了。



忘れないでよ」



 ちょっと、あきれたような、ふてくされたような表情で言った。



「ありがとうね、了君」


 初めて呼ぶその名前を、私はゆっくりと大切に発音した。




「了でいいよ」



 照れたように、微笑んで言った。



「私も、夏季って呼んでよ」



「うん」