★ブルーの彼方★






 私の反らした視線の先には、ボロボロな幾つかの大きな穴と、無数の小さな穴の開いたタイヤが見えた。





 しばらくして、私はまた了を見つめた。



了は黙ったまま、じっと私を見つめ返した。



それは憎しみと、悲しみに満ちた瞳だった。



「あんた、夏季の財布とったでしょ?」



 江利は了の目の前に、立ちはだかって言った。


「何? 何の話?」



 ほんとに、何もしてないみたいな言い方だ。



「私見たの。



あの日あんたが、女子更衣室からこそこそと出て行くとこ」



「見ただけだろ!



証拠は?



それだけで、何でそんなこと僕がしなきゃなんないのか、わかんないんだけど」



 すごく、余裕の表情を浮かべてる。