通り過ぎるカップルを眺める度に、うらやましく感じた。 「お疲れ−っ!」という声と共に、いくつかのバンドのメンバーが徐々にガラスの扉から出てきて、とおり過ぎていく。 「あっ! 木村の……」 そう、立ち止まる声がしてよく見ると、モヒカン君だった。 「久々!」 私は作り笑いを浮かべ、言った。 「今、木村呼んで来てやる!!」 そう言って、また中へと戻っていった。 彼はほんと、面倒見がいい。 数分後、モヒカン君と一緒に、木村君がやってきた。 私はベンチから立ち上がった。