家の近くまで来ると、珍しく明かりが灯ってた。 キッチンへ行くと、珍しく母が、鼻歌を歌いながら食事の支度をしてた。 独特なカレーのいい香りが立ちこめてる。 「珍しいね」 私がそう言うと、母は、 「久しぶりに、仕事が早く終わったから」 と、鍋をかき混ぜながら言った。 食器棚から食器やフォーク、スプーンを取り出し、準備した。 サラダもテーブルに置かれていた。 母は相変わらず、鼻歌を歌っている。 でも、その声はいつもと違う。 何だかすごく暗い歌だ。