木村君との思い出が、一気によみがえってきた。 木村君とは、同じ時間の同じ車両の電車にいつも乗ってた。 木村君は南高校の制服を着こなして、ギターケースを立てかけて、窓際にちょっと猫背ぎみに立っていた。 結構モテるらしく、顔を真っ赤にして手紙やプレゼントを木村君に渡して走り去っていく女の子を、何人も見かけた。 だから、初めて電車で話し掛けられた時には、びっくりした!! 「これ…良かったら……」 そう言って、ライブハウスのチケットを渡してきた。 それが始まりだった。