「今は…今はごめん」



 そう言うのがやっとだった。



 そっと包み込むように抱きしめられた。



優しい…優しい了を感じる。

 癖っ毛が湿気でカールしてる、でもそれが色っぽいと思った。


「だよね…」



 耳元で聞こえる声で、顔が見えなくても気持ちが伝わってくる。



好きでいてくれたんだ…



木村君に振られちゃった…私なんかなのに…



 了は家まで送ってくれて、何もなかったみたいに爽やかに去っていった。



あんなにいい人、なかなかいない!