控え室らしい場所までやってくると、やっと振り返った。 「なぁ、あいつどこ行ったんだ?」 ガムをくちゃくちゃと噛みながら、彼は言った。 大きな鏡が並び、所狭しと楽器のケースや、ドラムのスティック、衣装などが置かれている。 「その……」 私はモヒカンの髪型をじっと見つめた。 こんなに激しいモヒカンは初めて見た。 ソフモヒなら見かけるけど。 「あいつ急に、オレらのバンドに時間譲るから、って言い出して」 「お願いです。 それ、待ってもらえないですか?」 私は彼に近づいて、必死に言った。