一歩一歩、木村君の大きな背中に向かって歩いていく。
幼い頃から中学まで、水泳を続けていたから肩幅がある。
胸の鼓動が、どんどん早くなっていくのがわかる。
ードクッドクッドクン…ー
毎日満員電車に揺られてても、木村君の隣にいれば辛くなかった。
背が高い木村君は、満員電車では、人の顔や肩が間近にくることはなさそうで、うらやましかった。
私とは、二十センチ以上身長差があった。
人混みで待ち合わせをしても、すぐに見つけることができたし。
電車ではいつも、脂ぎったオヤジが守るようにして立っていてくれた。
でもその代わり、建物の出入り口とかで、油断してると頭をぶつける。って言ってたっけ。
毎日たわいのない話をしてた。
中でも好きな音楽の話をする時は、一番目を輝かせてた。
CDもたくさん貸してくれた♪
美味しかった新発売のお菓子も、次の日買ってきてくれたり☆
子供のころの話、クラスメイト、バンド仲間の話。
すごく楽しかった!!
話せば話すほど、二人の距離が縮まっていくように感じてた!
でも、木村君にとっては、私との距離はどんどん遠くなっていってたんだよね、きっと。



