駐車場のすぐ近くまでやって来ると、木村君がフェンスにもたれかかって座ってた。
フェンス越しに、ブルーのTシャツを着た後ろ姿が見える。
黒髪でストレートな髪の毛、長くて綺麗な指、照れると真っ赤になる耳。
大好きだった何もかもがもう、失われてしまうのかと思うと、急に怖くなった。
しばらく、その場にただ立ち尽くしていた。
ずっと一緒にいたい……
離れたくない……
でも今声をかけたら、終わっちゃうんだ…きっと。
私は鏡をバッグから取り出して、無理して笑ってみる。
ほおが強張って、作り笑いですらうまくできない。
しまいには、涙でにじんで自分の顔が歪んで見えた。
最後は、笑っていたい。



