「よろこんで、くれると思うんだ……。うぬぼれかな? ね、ルナ? いや……違うな」


 今度こそ、涙を拭いて彼女は思った。 


「ご無事ですか? みなさん!」


 修道女はつながれた犬に吠えたてられ、怯えていた。


「こんなとき、助けてくれないんだもの、神様って」


 と、愚痴をこぼす。
 
 
 全員「え?」という目で修道女を見た。


「は、わ、わたしなんてことを。でもまだ見習いなんだもの。修道院長様はおでかけになったきり、もう数週間お戻りにならなくて」


 べそべそ泣き出す。


「灰色の修道服はいつでも脱げるんじゃなくて?」


 ルナが優しく尋ねると、修道女は質素なスカートを開いて見せ、


「そうね、私には似合ってないみたい。修道院長様もそれを見越して私を置いていったのかも知れない。音を上げるんじゃないかと」


 あー、と周り中が納得した。


「あ、あっ、失礼ですね。私はこれでも子ども達に好かれてるんですよ。花たちにも水をやっているし」


「でも信者はいない、と」