ルナは持てる限りの金額全てを献金にさせた。


 チップは相方のダーナに任せてある。大丈夫だ。


「しかし、教会の奥に池にもなるような泉が湧いているとは……」


 一部始終を見守っていた御者が言った。


「高額の献金目当てに出し渋っていたとしか……」


 はなしが下世話になり始めた時、教会の入り口が開いた。


 まだ十分、外は明るい。


 長い客人の陰がさす。


 ちょうど汚れを落としてきた少女がまぶしげに目をこすってくしゃみをした。


 ルナは自分の紗織りのドレスを一枚脱ぎ、少女に与えた。


 それを見た客人の目の色が変わった。