「昔から真っ白い猫は、そして目が青い猫はネズミを捕るのが下手でね。遺伝らしいけど、みんな耳が悪いとは気が付いていなかった」


 それに気づいたのは希有なことだよ、とダーナは口をつぐんだ。かすかなため息と共に、涙、こらえて。


☆  ☆  ☆



「あれだけ水量があれば、泉の水は当分もちましょう」


 ルナが遠くを見るような声で言うと、


「私が悪いんじゃない、無理矢理手込めにされて、婚約者に言うって脅されて連れてゆかれたんだ。不可抗力だったんだ」


「それでも聖塔には見たままを伝えます。聖徒たるわたくしのつとめでもありますから」