静かな威厳をたたえた瞳でルナが言うと、修道女は拳をふるわせた。


「聖塔へ……おまえのような小娘が立ち入れるはずがない。おまえが、聖乙女に認められるなどと……」


「どう思うかは自由。今は水を、と言っているのです」


 非常に丁寧にルナが言うと、相手も陶酔の中へ戻っていった。


「どういう方かはお聞きしません。ですがわたくしたちにも水は貴重なのです」


「どう、用いれば貴重でなくなるのですか。お金ですか、名誉ですか」


「ぶ、無礼な。今なら神もお許しになるでしょう、わたくしの自己犠牲に満足して下さるはずです」