「とりあえず水を。この娘と猫の遺骸から死の匂いを洗い流すだけの、十分な水をください」


 ダーナが言うと、文句を言いたそうに、修道女は言った。


「どう致しましょう、疫病で穢れていない水を保有するのは大変でしたので、もう、わずかしか」


「それで、かまいませんよ」


 すると、修道女はピクピクとこめかみをひくつかせた。


「わたくしたちも生活に必要なのです。貴重なのですよ」


 そこまで言わせて、ルナは言った。


「聖塔へは修道院の窮状と逼迫した現状を報告いたしましょう。それで、いいですか?」