「頭が少々、弱いのですね。いいですか? これは天がなさった行いなのです」


 修道女は陶酔するようにささやいた。


「あなたのそのみすぼらしい生き物は、生きるにあたわなかったのです。むしろ神に召されて幸福なのですよ」


 簡素ではあるがそれなりの広さのある教会内部に少女の声が響き渡る。


「神が……マリアを奪ったのか? 神があたしを一人にしたのか! みんなみんな、殺して、土に埋めて!」


「神を誹謗してはなりません! 全ては試練なのです。その生き物の寿命は神がお定めになりました。それだけなのですよ」


「寿命? 寿命ってなんだ! マリアは無理矢理首を絞められて殺されたのだぞ?」


「それも、また、運命」