どこかで、だれか、泣いている。



 聞こえる……彼女は馬車の中から、覆いをすこうし開けて見てみた。


「ルナ、現世に未練を残すことはないわ」


 四つ年上のダーナが覆いをふさいだ。


 そういうルナはまだ六つ。


 ルナははっとした。教会の見える丘。


 小さなちいさな、教会の。


「あの、丘に……」


 木の枝に……風に揺れてぶら下がっているもの。


 

あれは。