俺は、どこを歩いているのか。

任務に失敗してしまった。

今、何を言ったところで言い訳だ。

俺は、葉桜丞に負けたのだ。

最後に裏世界から持ち出した古代コアを使っても、勝てなかった。

そして、生かされた。

情けない男だ。

「くそ!」

壁を殴りつけると、めり込んだ。

あの一撃で死なないとなると、相当鍛えてきたのか。

素質があったのか。

今は、どうでもいい。

行き先も、思いつかない。

おめおめと生き恥を晒して、秋野の元に帰る事も出来ない。

そして、傍に燕がいる以上は、死ねない。

俺が怪我をしても、傷を回復してくるだろう。

そのために付いてきているといってもいい。

「無様な奴だ」

「うるさいぞ」

「そんなお前でも、私は好きだぞ。何故ならお前のフィアンセだからな」

「何故、お前は折れない?」

俺にこんなにも拒まれているのにも関わらず、てこでも動かない。

「刃、それは本気で聞いているのか?」

「聞くのを止めた」

「私とお前の違うところは一つ!それは心にある大黒柱の太さ!そして、愛という名の素敵な世界を持っている!」

俺の言葉を無視して、燕が答える。