「くそ!遅れちまったぜ!」

俺達はビルから降りてくると、外は暗闇に包まれている。

「走るのが辛いぜ」

「五発程度でバテるとは、惰弱アルな」

隣の吟は肌が艶々しており、元気そのものだ。

「かもしれねえ。もっと足腰を鍛えぬかないとな」

俺達は走って、教会へと向おうとしている。

本当にマリアが協力してくれるのだろうか。

「はあ、はあ、そろそろか」

教会に辿り着こうとしたところ、見覚えのある後姿を発見した。

「マリアと、あれは」

確か、街中で出会った妖魔だ。

手を引かれて出口の前で止まっていた。

教会はどうしたというのか。

「なんだかよく解らないが、意味なく出口の前にいるなんて事はありえないぜ」

「今のお前では勝てないアルよ」

「俺は理由が知りたいし、見過ごす事も出来ない」

俺は足をマリアの方向へと向けた。

「マリア」

「あなたは」

「マリア、どうなっているか説明してくれ」

隣にいるのが改革派というのであれば、事はややこしいという事だ。

「あなたには、関係ありません」

「マリア、それはちっと違うな」

「え?」

「悪いが、事情を聞いてる暇はなさそうだ」

隣にいる改革派の妖魔からは殺気を感じる。