私がマリアさんを取り戻すために向ってもよろしいのですが、同じ繰り返しになる事は間違いありませんね。

死地に迎えるチャンスをミスミス逃すような物なのですがね。

誰か、変わりの方がいらっしゃればよろしいのですが。

「丞さんなら、私の兄さんなら、何とかしてくれると、思う」

「あんたの、兄ちゃん?」

「多分だけど」

「信用ならんなあ」

再び周囲を歩き始めました。

そして、八重さんの下に歩いていきます。

「八重、ええか?絶対にマリアを連れて来るからな」

「うん」

「ほら、もう遅いから、あんたも寝んねや」

「あ、猫」

八重さんは扉の奥へと摩耶さんに連れて行かれました。

「ああ!子供の撫で撫で気持ちよかったのに!取り上げられたにゃ!不幸にゃああ!」

黒猫さんの声と同時に、扉が壊れ私達の方へと向ってきます。

しかし、ブロンド髪の女性が片手を挙げると、風を起こし扉を止めました。

「おや、あなたも妖魔だったんですか」

「王子様と共にあるべき妖魔、ロベリア」

再び、黒猫さんを持ち上げます。

「むう、琴は子供が大好きなのに、残念にゃあ」

「大丈夫、もうすぐ、王子様とお姫様が帰ってきてくれるから」

「それだったらいいにゃあ。琴を元気付けてくれるロベリアは好きにゃあ」

よほど嬉しいのでしょうか、ロベリアさんに顔を擦り付けます。

「しかし、本当に、遅い。丞さん、どうしたんだろう」