「ああ、姉さん、本当に、待ったよ」

四天ビルの内の一つ、増長ビルの一室。

ロベリアのコアを見つめたまま、自分の体を持った女は愛を囁いた。

ロベリアのコアは語る事はない。

だが、女の言葉は届いていた。

あるのは戸惑い。

あるのは母性。

あるのは霞がかった懐かしき心。

しかし、ロベリアは理解出来なかった。

女が自分に向けた言葉を。

内なる自分を真に理解していないから、奥底にまでは届かなかった。

女の隣には、静かに座っている女がいる。

「悲しまないで、千鶴には私がいる」

「ジャスミン、私はあの人を傷つけるために、手術を受けたんじゃない」

女は涙を流し始めた。

「あなたの傷は私が癒してあげる」

頬の涙を指で掬い取り、髪を撫でる。

「私は、会って、話をしたかっただけなのに」

嘆く千鶴。

ジャスミンは千鶴の気持ちは痛いほどに解っていながら、心は姉一色であった。