「あなたが教師の資格を持っているとの噂を聞きましてね」

「私の周囲に不幸を招いておいて、何を言ってるの?」

「不幸を一つ乗り越えれば、更なる不幸がまた一つ。死地が山ほど襲ってくる状況は口から手が出るくらいですよ」

「その言葉、覚えておく事ね」

「飛鳥さんに促されると、是非とも覚えておかなければならなくなりましたね。では、よろしくお願いします。あなたならば、生徒の心をつかむ事も間違いないでしょう」

「あんたには絶対復讐してやる!不幸を招いてやる!」

「それは期待したくなるじゃないですか」

飛鳥さんが無言で去り、私達は廃墟へと向います。

彼女が教師をやってくれるかどうかは解りませんが、任せておきましょう。

電車に乗り、船に乗り、私達は流れるように島に辿り着きます。

「相変わらず健在で嬉しい限りですよ」

大きな壁が目の前に聳え立っています。

「パパ、なんか肌寒い」

過去の記憶から、体にも影響が出ているのかもしれません。

「おや、そういう時はこれを」

冷蔵庫から持ち出した予備のお汁粉DX・NEOです。

私から受け取ると水筒の蓋を開けて飲みます。

「妙な温かさがあるのがええなあ」

「ええ、私の懐で温めておきましたからね」

摩耶さんが喜んでくれて何よりですね。

扉を開けると、懐かしき人がいます。

「赤城か」

「お久しぶりですね。あなたの顔を見れた喜びが止まらないですよ」

「お前は何度戻ってくるんだ?」