「男とガキは放っておいてやるから来いよ」

男がマリアの腕を掴む。

「リンチの次は強姦ですか。罪を重ねれば、罰も重なる事になります」

「はあ?」

「おや、耳が遠いようですね。耳掃除とは言えませんが、アナタの耳を聞こえやすくしてあげますよ」

刹那、耳にはナイフが刺さっていた。

「あぎゃ」

脳まで達しているかもしれない。

腕を掴んでいた男は倒れた。

「お前は、アホ・マナフ」

四年ぶりか。

アカ・マナフは相変わらずの出で立ちだった。

しかし、何故、天国の島にアカ・マナフがいるのか。

「おや、私の事を知っていてくれるお方がいるとは、思いもしませんでしたね。あなたに摩耶さん特製のお汁粉を上げたくなりますよ」

ナイフを生成し、近づいてくる。

「赤城さん、人殺しは罪です」

「おやおや、どのような方にでも慈悲を与えようとするマリアさんのお優しい心には感服するばかりですね」

二人が会話をしている間に、男達は死体を置いて逃げていく。

「はあ、はあ」

傷口が開いたか。

意識が朦朧としてきた。

「お、おい、大丈夫、か?」

「心配、してくれんのか。やさし、いな」

瞼が重い。

目の前のクルトが何を言っているのか、解らなくなってきた。

俺の意識は、閉じる。