私と摩耶さんは家に帰ってきました。

葵さんはどこかに武者修行の旅に出かけてしまいましたね。

しかし、意外な事に、微量ながらに感情が動いたように思います。

何かの前触れなのかもしれませんね。

「おっと、糖分補給を行わなければなりませんね」

活動した後の糖分補給は欠かさない様にしなければ、元気な摩耶さんの相手は勤まりません。

冷蔵庫の中に潜ませておいた、『お汁粉DX・NEO』を手にとります。

実のところ、摩耶さんの手作りお汁粉だったりします。

お汁粉の味を研究し続け、ついに完成した究極のお汁粉ともいえますね。

タッパーからコップに移して飲みます。

絡みつくような感触が何とも言えません。

「ああ、これに限りますね」

そういえば、最近、故郷に帰っていませんでしたね。

マヤさんのお墓にもお参りしておきたいですし、そろそろ帰省してもいいかもしれません。

ただ、廃墟でお金をどう集めるかが問題になるところですがね。

「状況が変わっていなければ、四天ビルにお金が蓄えられている事は間違いないのですがね」

さて、摩耶さんを連れて行くかどうかによって、さらに状況が変わってきます。

「ぱ、ぱ?」

「おや、気がつきましたか」

「パパ、ウチ、斬られたんやないん?」

「ええ、死ぬほどの怪我を負いましたが、傷痕が残る程度で治してもらいましたよ」

「良かった。まだ、パパの傍におれる」

摩耶さんの瞳から涙がこぼれているようです。

お汁粉DXを飲めば、癒しを得られるかもしれませんね。