妖魔05~正道~

闇のシルエットは俺を一瞥した後、無言で千鶴へと向っていく。

千鶴は腕を振るうも、幻を掴むかのように闇のシルエットをすり抜ける。

闇のシルエットは千鶴の体を通り抜けた。

通り抜けると闇のシルエットではなく、薄くなった郁乃母さんが宙に浮いている。

「郁乃、母さん」

郁乃母さんは微笑み、霧散した。

「ああ」

俺の中の郁乃母さんも、世界から消えてしまった。

「あああああああああ!」

千鶴の声だ。

先ほどの郁乃母さんの活躍によって『モード:審判』が解かれたのだろう。

腕を斬られた痛みが襲いかかってきているのか。

「千鶴」

吟が千鶴の腕と俺を担いで、千鶴の下まで運んでいく。

「後で八倍返しアル」

千鶴の傍に俺を置いて、地面に陣を書き詠唱する。

何分かかるのかは解らない。

辺りを見ると、ジャスミンのコアはクルトが溶液の中にしまっていた。

琴は前足で目を隠しながら、蹲っている。

そうしてくれた方が、今はありがたい。

俺は千鶴の腕を元の位置に付けていると、段々と接合されているのがわかる。

ロベリアのコアが千鶴から出てくると、クルトを呼んで渡し、ジャスミンの身体へと仕込ませた。

「大丈夫か?」

「痛い、よ」

痛さで涙を流す、千鶴の頭を撫でる。