「あなたと、話がしたくて」

「今はやることがある」

「お願いです!」

俺に掴みかかる。

腕にかかる握力は人間以上の物がある。

「解った。その前に本来の姿を見せてくれ」

「あ、はい、そうですね」

俺の予想が正しければ、廃墟に居るべき人物ではない。

「やはりか」

腹からコアを抜き出すと、俺の目の前には妹の千鶴が立っている。

千鶴はロベリアのコアをビンに入った溶液の中へと入れる。

「あの、ごめんなさい」

「何故、俺と話がしたいんだ?」

「これを」

俺に手渡されたのは、幼少の頃の写真。

俺と千鶴と郁乃母さんが写っている写真だ。

確か、千鶴が小学生に上がった頃の写真だったかな。

これが、千鶴の言っていた写真なのか?

しかし、俺の顔が瞬時に識別出来ていたから、中学生か高校生くらいの写真だろう。

ならば、この写真は家のどこかにあったのか。

でも、それだとおかしい。

記憶がなくなったとしても、もっと前に関係性に気付いていてもいいはずじゃないか。

「あの、あなたは、自分とは無関係に装うつもりかもしれませんけど、子鉄さんや美咲さんと共に写真に写っていました。そして、あなたが葉桜丞という名前である事も、知りました。あなたは私の、兄なんですね?」