妖魔05~正道~

「これの何が、楽しい?」

「面白いかどうかじゃないんだ。相手を少しでも分かるための行動さ」

「何が分かる?」

「そうだな、お前からすれば、俺がお前の事を好きだという事だ」

「好きか、悪くない響きだ」

吟が再び笑う。

感情があるからこそ、分かるのだろう。

俺は吟を離し、他の争いを見ながらも骨の上へと座った。

先ほどから攻撃をしかけなくなったのは、話をしたいという気持ちの表れなのかもしれない。

「私は、私の事を知らない」

思ったとおりだった。

他の争う奴等も自分の事や他の事は何も知らないのだろう。

「お前は私の事を吟という。私の事を知っているのか?」

「多分、この世界で他の奴等よりも、お前よりもよく知ってるよ」

「そうか、なら、聞かせてくれ」

「いいぜ」

時間はある。

幽霊になる以外で地上に戻る事が出来ないのなら、やる事はこれしかない。

俺は俺の知っている吟の全てを話始めた。

ゆっくりと。

彼女の気の済むまで。




『完』