胸にぶち当たる掌底。

コアを無理矢理、押し込んだ。

「はあ」

その場に座り込んだ。

胸を触ると、傷が治っている。

「便利だけど、なんだかなあ」

少しだけ聞いたことがある。

会話を必要としない闘う事だけを目的とした場所。

確か、『修羅界』だったか。

それを知ったところで、どれだけの意味があるのか。

「それよりも、吟は」

動きを止めている。

俺は立ち上がり、吟の様子を伺った。

「おい、吟」

再び動き始める。

攻撃を加えてだ。

「やっぱ、そう簡単に治らないってえのか!」

しかし、回避している内に気づいた事がある。

吟の動きに『人間味』があるのはどういう事か。

「まさか」

笑った。

「おーいおいおいおいおいおいおい!起きてるんじゃねえのかよ!」

「面白い事を言う」

意志はある、会話をすることも出来る。

でも、俺を襲う理由は何だ?

コアが入ったというのに、記憶がないのか?