「相変わらず、だな」

何をしても無駄だ。

ラインぐらいの力の持ち主でなければ、元に戻す事は出来ない。

俺は動かぬまま、吟の手刀を体で受け止める。

胸に刺さる手刀。

「が」

痛みはある。

しかし、意識は消えない。

死んでいるからだろうか。

「これだけじゃ、気がすまねえかよ」

極限に痛い。

吟が手刀を抜くと、滴り落ちる血液。

その中に紛れ込んでいたのはコアだ。

俺のじゃない。

これは、吟のコアか。

死んでもなお、俺の中に存在している。

ラインの差し金なのかもしれない。

「そう、か」

吟に意識が無いのは、自分のコアがないからか。

自分の記憶も何もかもがないからなのかもしれない。

コアを拾い上げ、再び繰り出される吟の攻撃を回避する。

死んでいるといっても、痛い物は痛い。

「やるしかねえ」

前を見据え、構える。

吟の攻撃は早い。

だが、見えないほどではない。

だから、落ち着けば、捌く事も出来る。

今、やらなければならないという意志が、集中力を高める。

「目を覚ませ!」

カウンターを狙うのと同時にコアを掌に載せて、掌底を打ち込んだ。