エレベーターを降りて、真っ直ぐ進むと黒い扉がある。

子鉄がノックをして、扉を開けた。

部屋の奥の立派な社長机に座って、萌黄さんが作業をしている。

眼鏡がとても似合っている。

「ちょっと待つですの」

「はい」

数分間、萌黄さんはキリのいいところまで進めた。

眼鏡を外し、立ち上がる。

「ようこそ、退魔師本部へ」

「久しぶりとでも、言いましょうか」

萌黄さんの出された手を、握手で返す。

「堅苦しいですわ」

「でも、今日は入社試験を受けにきたわけですし」

「私としてはそんな事をしなくてもいいと思ってるわけですが、形式上、ね」

「そこまで贔屓にされるわけにもいきませんしね」

「じゃあ、早速、筆記試験に取り掛かってもらうですの。子鉄、そこで受けてもらうですわ」

部屋の中に、もう一つ扉がある。

中は、十畳程度で装飾品などは飾られてない。

真ん中には長机にパイプ椅子が寂しげに置かれてある。

「そこに座って」

「はい」

パイプ椅子に座ると、机の上に紙と鉛筆と消しゴムが用意される。

「制限時間は一時間。いい?」

「おう」

「じゃあ、スタート」

裏向きの紙を表に向けて、問題を見る。

数学、国語、社会、英語などの常識問題が散りばめられている。

旅をしていたから、英語と社会はそれなりに理解はしていた。

問題は数学と国語だ。