ロベリアは天職である風俗店のバイトへ。

ジャスミンは、『サバイバー』のバイトへ。

ロベリアには別のバイトを進めようとも思ったが、ジャスミンに止められた。

姉には、自由にさせてあげたいという気持ちがあるのだろう。

治せるとはいえ、病気にならないようにだけはしてもらいたい。

二人は、俺の家で暮らしている。

ミールオルディンの武装集団も段々街から見えなくなった。

街は、妖魔と人間とが仲良く歩いている。

俺は、吟の能力によって本物を見分ける事が出来る。

本当の姿を知らないのか、それとも知っているのか。

「兄さん」

考えている途中で、意識を表へと呼び戻される。

髪を靡かせながら、つぶらな瞳で俺を見る。

「どうした?」

「兄さんは、たまに母さんと会ってたんだよね?」

「俺が気絶した時にだけ、特別にな」

千鶴には、今までの経緯を話した。

ずっと隠し通せるわけもないし、落ち着いたので話したわけだ。

もちろん、島での出来事もだ。

それでも、千鶴は俺を許した。

「羨ましいな。私も、母さんと話したかった」

「悪いな」

笑顔を作って、千鶴の頭を撫でる。

「ねえ、兄さん」

上目遣いなところが、惚れてしまいそうなほどに可愛らしい。

「何だ?」

「また、遠くに行くの?」

「わからない」

まだ解決していない山がある。

イヴァン=カナシュートだ。