俺は千鶴と二人で母さんと吟の墓参りに来ている。

あれから数日が経ったが、まだ何かを行ったという事はない。

だが、暴動が起こっていないという事は、萌黄さんと道元がしっかりと働いてくれているに違いない。

そう、信じたいところだ。

あの後、本来の目的である琴の家でもう一つの吟の形見を貰った。

それは、吟が琴に預けた腕輪だ。

原初に近き者は、他の妖魔と区別するための装飾物を身につけているといわれているらしい。

死と同時に原初に近き者の血筋の中で一番有能な者に受け継がれる。

本来ならば郁乃母さんに受け継がれるはずだったが、吟よりも先に逝ってしまったので、吟が持っていたというわけだ。

しかし、吟は証は必要ないという事で、琴に預けていた。

誰から貰ったとかは解らないみたいだ。

とても古いが、今でも輝きを失う事のない過去の遺物。

どういった構造で出来ているのかはわからないが、ロストテクノロジーである事には違いない。

龍姫も龍王から受け継いだらしく、身に着けてはいないがチョーカーを持っているらしい。

そして、ティア達、島妖魔は妖魔の里で療養している。

心のケアには時間がかかるみたいだからな。

しばらくは、近づけない。

美咲は強いわけではないのだが、業務に戻った。

冬狐も同じく学校の教師として、仕事を再開した。

アカ・マナフはといえば、いつの間にか帰ってきて、摩耶と家で暮らしているらしい。

そして、俺はロベリアを少し怒らせてしまった。

勝手に、行動してしまったからな。

ロベリアが怒るという事は、妹のジャスミンも俺に怒りを向ける。

非常に世知辛い。

ちなみに、ラインによってロベリアの体は殻の妖魔の体を用意された。

どこから持ってきたのかは謎だ。

ただ、凄くロベリアに似ているらしい。

見た目はジャスミンとあまり変わりはない。

あるなら早く持って来いよと思ったが、準備が必要だとの事。

ロベリアやジャスミンはバイトを始めたようだ。

現世を知るためだというわけだがな。