「長よ、あなたにも会議には参加していただきます」

「私は刃との愛の逃避行に赴くのだ!むぎゅ!」

逃げようとするが、笹原道元の重力によって潰される。

「葉桜君、よく我慢したな」

「最初に言っただろ、湊さんには人脈と人や妖魔を取り込む力があるってな。だから、何のメリットも生み出さずに暴れる事に意味はないさ」

殺す事も、幽閉する事も、今やるべきではない。

湊さんには別の方向で働いてもらいたい。

「でも、苦しませているのは、あだ討ちをさせない俺なんだろうけど、な」

「君は平和を望んでいる。それは伝わってくる」

「心も、体も、痛みが残っている。本当は、誰のための平和なんだろうな」

本当に、これでよかったのか。

俺には、解らない。

「あんたが美咲を救ったんだって?」

冬狐が俺の前に立つ。

湊さんが冬狐を捕虜にしなかった理由はなんだろう。

すでに、湊さんの条件を飲んでいたからかもしれない。

「もう一度、確かめさせてもらうわ。あんた、何者?」

「葉桜丞、冬狐を好きだった生徒さ」

「ふうん、冴えない顔をしてるわりに、頑張るわね」

「冬狐は今日も二つの山が冴えてるな」

久々に最高のフィット感の胸を揉む。

反射的に攻撃が来るが、ぎりぎりのところで交わした。

「避けるわけ」

「まあな。冬狐、美咲に、よろしくな」

俺は背中を向けて、その場を去る。

後は、人間側である退魔師の総長である、萌黄さんに頼むしかない。