妖魔05~正道~

「見てみぬフリをしていたかもしれないな」

「そうね。でも、あなたの仲間がそこにいた」

「好きだった女が嫌な事されて、喜ぶ馬鹿じゃない」

美咲が、酷い目にあってきた。

「そうね、以前、あなたは笹原美咲さんの事を愛していた」

「何故、湊さん達が記憶があるかなんてどうでもいいんだ。俺は、あんた達を、どうにかしちまいそうなんだよ」

今にも、飛び掛りそうだ。

「じゃあ、私を殺す?」

「やれるのならやりたいさ。でも」

「でも?」

「それも、正しいとは思えない」

「でも、私は法律を作り出すわ」

何が正しいのか。

湊さんは全てを破壊した。

幾つもの命を奪い、陵辱を命令した。

それは、支配するためではない。

世界を変えるためだ。

それを正当化してはいけないが、俺には成す事の出来ないであろう選択だ。

「葉桜君、妖魔達の怒りは抑えきれないだろう。彼女が死ななければどれだけの被害が出る?」

「湊さんが死ねば、怒りが収まるのか?受けた痛みが消えるのか?やった事でどうなる?あんた達は再び里の中に篭って、自分達の世界の中で生きるつもりか?」

怒りも、傷も、消えない。

それは、誰しもがわかっていることなんだ。

「世界に根付いた妖魔への認識、それはすでに薄まっている。それはチャンスだと受け取るべきなんだ。捕獲されて、苦しい思いをしただろう、辛い思いをしただろう。でも、あんた達、里の上層部のやるべき事は煽る事じゃない。いかにして、外の世界に妖魔達を導くかだよ。そして、湊さん。あんたの法律も下げてくれ。妖魔と人間が一緒だというのなら、尚更な」