妖魔05~正道~

微動だにもしない燕。

「さて、どうかな」

「保守派の長であるあなたが、そんな事だから皆犠牲にあったのよね」

「何!?」

俺は、驚きを隠せなかった。

「あなたが里を抜けた事により、保守派を落とすのが楽になったのよ」

「燕、本当か?」

「何を言っているのか解らないな。私はただの刃のフィアンセだ」

「本当の事を言ってくれよ。燕」

全員の視線が燕に行く。

確かに、先ほどの動きは妖魔としても、恐ろしいほどだ。

燕は頭をかきながらも、表情は変えない。

「情報は掴んでいたが、先手を打たれたというところだったな」

喋り方は以前と同じなのに、雰囲気は少しだけ違う。

表現は難しいが、上から見つめられているかのような、そんな感じだ。

「何で、そんな偽装までして里を抜けたんだ?」

「刃のフィアンセだからな。改革派の好きな奴が出て行くのだから、私も付いていくのが当然だ」

「どんな理屈だよ!あんた!それで、美咲が、保守派の代表格が苦しい思いをしたり、皆が死んだりしたんだぞ」

「それは、彼女の身を守るためだ」

背後から近づいてきたのは、笹原道元だった。

相変わらず、重苦しい空気を纏っている。

そして、隣には今にも飛び出しそうな久遠がいる。

「里のほうはいいのか?」

「皆、再生への前向きな気持ちは大きいからね」

「そうか」

「冬狐おおおおおお!」

久遠は飛び出して、冬狐に抱きついた。

湊さんは何かをしようとはしない。

あくまで、話し合いを進めるつもりだ。