妖魔05~正道~

「俺は、失う事に、耐えられるほど、強くはないんだ」

吟の死を思い出したのか、自然と涙が流れた。

やはり、制御が出来なかったか。

美咲の時もそうだった。

「琴も、我が侭いって、ごめんにゃ」

気まずそうな顔をしながら、琴が俺の涙を舐める。

「しょっぱいにゃ」

「塩分が豊富だからな」

俺は笑いながらも、涙を拭いた。

「ごめんな」

「丞は優しい子にゃ」

琴は俺の頭を撫でて、笑顔を見せる。

しばらくして、落ち着いたところで気になった事がある。

「琴は何で、家から出たんだ?」

「琴は政略結婚はごめんにゃ」

「葉桜って、お金と権力を持っていたのか」

「葉桜は貴族にゃ」

予想だにもしない答えが返ってきた。

「貴族、だって?」

「そうにゃ。でも、ミールオルディンのせいで、今もあるかどうかは解らないにゃ」

「そうか。よく里から抜け出せたな」

「何故か、追手がこなかったにゃ。琴は運がよかったにゃ」

多分、琴が不幸だと感じたからこそ、追手は不幸に巻き込まれたのかもしれない。