「すまぬ、ワラワの力不足じゃ」

「龍姫、俺の居ない間、吟の事を見ててくれたんだろ?」

「じゃが」

「十分に頑張ってくれたって事じゃないか。だから、自分を責めるのは止めるんだ」

「すまぬ」

「うん」

龍姫の頭を撫でる。

吟が床に伏せたのは、俺の力不足でもある。

だけど、今、自分の責任だと言い合ったところで、何も解決しない。

「龍姫、俺は吟に会いたい」

「うむ、解った」

龍姫が転移陣を描き、俺達は龍姫の住処へと移る。

神殿前には、誰もいなくなっていた。

「他の人達は?」

「別室にて休んでおる。危険はまだ去ってはおらぬからな」

念には念を入れてというわけか。

「すまない、爺さんのコアを戻しといてくれ」

地元に帰る前に抜いておいた爺さんのコアを龍姫に渡した。

俺は神殿の中にある、一室へと通される事になった。

中央奥にはベッドがあり、そこには吟が横たわっている。

酷く汗をかいており、今にも消えてしまいそうなほどに儚さを感じさせる。

「吟、帰って来た」

俺は吟の手を掴んだ。

再び、最愛の人の弱りきった姿を見ている。

「もっと、早く帰ってきて、色々話をしたかった」

吟は閉じていた目を開いた。