全員を片付けたと思ったが、燕が重傷な人間から回復していた。

「お前は何をしている?」

「さっきの仕返しをしようと」

「余計な真似をするな!」

ドロップキックをしている内に、男達は逃げ去っていった。

「ち、面倒くせえ。俺達はカマイタチじゃねえんだ」

「そうだそうだ!私達は夫婦じゃないか!」

「論外!」

男達よりも鋭いコークスクリューで殴り飛ばす。

耐久度といい、回復といい、人間の男よりは強いといっていい。

しかし、一人だけでも、捕らえておけばよかったかもしれない。

マリアの情報は必要だからな。

「何だ、私の事を考えているのか?」

「ありえん」

「寂しい。私は胸が痛いぞ」

胸を押さえながら、切ない顔をするがスルーする。

「ん?」

俺の前を横切る黒皮の繫ぎを着たブロンドの女。

妖魔のニオイ。

そして、微量ながら、千鶴のニオイも鼻をつく。

「待て」

「今、気分が悪いの。放っておいてくれない」

ブロンドの女は早足で去ろうとする。

「そういうわけにもいかない」

俺が腕を掴もうとすると、目潰しが飛んでくる。