「順序の事はさておき」

小さい抵抗なんてしてからに、益々気に入らない。

「冬狐は必ず泣かす」

俺は紙を握りつぶす。

「何をそんなに苛立っている、ほれ、私の胸でも触って癒されろ」

燕が俺の手をもって、胸につける。

しかし、俺はそのまま燕の腕を捻り、地面に這い蹲らせた。

「どこが、テメエの、秘策だ?コラ?」

「OH、YES!」

痛めているつもりだが、元気が増したようだ。

「どこのAV会社の回し者だ?ああ?」

「そのままケツを踏めば、更に喘いでやらないでないぞ」

「さっさと電池切れにでもなっていろ!」

燕のケツを蹴り飛ばし、俺は服を整えた。

「だが、お前がいなければ、俺が蘇らなかったのも事実。一応感謝はしておく」

腕を持って立ち上がらせた。

「ん?感謝ついでにベッドインだと!?お前、大胆だな!」

服を脱いで俺が寝ていたベッドの上に横になる。

「余計な時間を使わせるな!」

エルボーを決めて黙らせ、家から出る。

外界は夜になっており、港から動いていない。

「ち、まだここだったか」

妖魔の里に戻れば、冬狐がいるのかもしれない。

先ほどの紙には冬狐の居場所など書かれていない。

手がかりは、妖魔の里という事だけ。

今は、向うしかなさそうだ。