「おや、ナイフは落ちてこないのですか?」

「圧倒的にあなたが有利と判断しまして、設定を変えさせていただきました。あなたがどんな答えを出そうとも、『鋼』は崩れる仕組みになっています。そして、私とあなたは、共に死ぬ運命になります」

「おやおや、まだまだ質問に答えていたいところでしたがね」

私は立ち上がります。

「そんな、何故、立てるのですか!?周囲に攻撃をすれば、あなた自身にペナルティーが走るはず!」

「周囲に攻撃はしてませんよ。私自身に攻撃をしましたからね」

「そんな、どうやって!」

「簡単な話ですよ。足の裏から魔力発散ナイフを生成して、甲まで貫きましたからね」

私にかかっている、椅子から離れる事が出来ない付加能力を打ち消させていただきました。

そのおかげで、魔力の減りが速いんですよね。

周囲が崩れる中、私は足に魔草青汁を降り注いで、余りを飲み干します。

「あなたと私は相性が悪いみたいですね」

レインさんも足を引きずりながら立ち上がります。

「私としてはあなたの質問には興味があったんですよ。他に何か質問はないんですか?」

「あなた、自分の状況が解っているんですか?」

何か気に食わない事でもあるのでしょうか。

自分で言った、予知能力でも働かせてみましょうか。

「ああ、解りました」

「何を、ですか?」

「今ならブドウ味とお汁粉味があります」

リュックの中から、二つの缶を取り出しました。

きっと、喉が渇いていたに違いありません。

「要りませんよ!」

肩に刺さったナイフを引き抜いて、私に投げつけます。

お汁粉味は大切なので、ブドウ味の缶でナイフを防ぎます。