「お前、自分のやった事を忘れてないか?」

今でも腹が痛むというのに、契約をしろという。

「拒否するのなら拒否するでいい」

「宿主はどうするんだよ?」

「ああ、そういえば、彼女もあなたに会いたがってたわ」

「何?」

女である事は解っている。

半妖である事も解っている。

そして、俺に会いたいたらしい。

嫌な予感がしてきた。

「後でもいいのよね?」

「後だ」

柔軟な姿勢も必要だが、吟に会う事のほうが先だ。

「頑固、力は欲しくないの?」

「お前、矛盾してる」

「何でよ?」

「ロベリアを道具として扱って欲しくないのなら、お前の言い方は間違ってる。それじゃあ、お前等、契約妖魔の事を道具として認めてくれと言っているようなものだ」

そう、彼女が望まなければ、俺は彼女と共には戦わない。

「一緒に闘っていたとするのなら、ロベリアが死ぬ時は俺の死ぬ時だ」

妹を背に遠ざかっていく。

「姉さんはロベリアなんて名前じゃない」

「そうかい」

優先順位は明らかにロベリアが高くなっているだろう。

確実な場所も解っている。

しかし、当初の予定通り、吟を探しに行く。