妖魔05~正道~

「約束を守って」

涙を溜めながら、訴える。

「解ってるよ」

微笑みながら、頭を撫でる。

「そんな顔で郁乃母さんの前に行かせたら、俺が怒られるじゃないか」

そして、クルトの前に、立つ。

「すまない。また、お前の約束が遠のく」

「この田吾作!今の状況で約束もクソもあるか!就職する場所がないだ!」

「そうかもな」

「取り返せとは言わない。でも、他の場所で、見つけられるように、オラと探すだ」

「必ず、お前が仕事の出来る場所を探そう」

頭を撫でようとすると、ローキックを入れられる。

「子ども扱いするな!」

「悪いな」

クルトとのやり取りをしてる最中、琴が歩いてくる。

「吟ちゃんの彼氏は、何でそんなに不幸な思いをしても、踏ん張れるにゃ?」

「十の不幸があったとして、その中の一の幸福を見つける。ただ、それだけの努力をしてるだけだよ。今の場合なら、美咲が苦しい思いをしてるのが十、美咲のために少しでも何かが出来るって事が一だ」

「琴、絶対に泣いちゃうにゃ」

琴を抱き上げる。

「誰にでも、出来る事さ。大丈夫、きっと、琴にでも出来るよ」

「にゃあ」

琴の頭を撫でると、気持ち良さそうに擦り寄る。

ここに居る最後の一人、ロベリアが前に立つ。

「ロベリア、今回ばかりは」

「王子様、もう一度、言わせてもらいます。共に輝けるのなら、共に散る覚悟もあります」

「俺にそこまで尽くしてくれるのは、何でだ?」