「マリアが治してくれたのか?」

「いえ、赤城さんが施しました」

「人間の体をいじくるのは実に勉強になりますよ」

嫌な言い方だ。

しかし、生物の教師だったとはいえ、人の体を治療できるのか。

「おや、私はモグリで医師もやってたんですよ」

「お前は相変わらずだな」

人の心を読んだかのような台詞だ。

「しかし、不思議な物ですね。前世ではあなたと私は親友だったのかもしれませんよ」

「んなわけあるかい」

何度も言ったような気がするが、俺とアホ・マナフが親友であるのならば、体がいくつあっても足りない。

「パパに何ていう口聞いてるんや」

「お前、まだパパのお嫁さんになるとか言うつもりじゃないだろうな?」

「何が悪いんやっていうか、何で知ってるん?あんたにそんな事言った覚えないで」

「顔を見りゃ解るさ」

それより、情報が足りなさ過ぎる。

「なあ、教えてくれよ。何でアカ・マナフがここにいる?」

「おや、よくぞ聞いてくれましたね。たった今、近況を見知らぬ人に聞いてもらいたかったんですよ」

アカ・マナフに話を振ったのは間違いだったのかもしれない。

遠回りになりそうな気がしてならなかったからだ。